ハート出版から2008年に出版された本。
親世代の生きた時代と異なる思春期の子どものそれぞれの抱える言い分や親子関係の悩み、背景、エピソード等が書かれている本。
家族、親子を「会社経営」とみなし、父が「社長(経営者)」目線になり、我が妻、我が子をコントロールするそんな家庭に育つ子どもと親の問題のエピソードが個人的に印象的だった。
妻や子は「社員」で実績や成果を出さなければ無意味だという潜在的な考えは親が生まれた時代背景の影響なのかと感じる。
戦後のベビーブーム(1947年~1949年頃)以降に生まれた「団塊の世代」は高度経済成長の中で育ち「努力は報われる」と言われその通りになった世代とのことだが、このような「均等法世代」を親に持つ子は、そのような時代を生き抜いた親世代の考えや教育に対して苦悩する・・・。
努力しても報われないかもしれない時代を生きる子供に対し、偏差値主義・成果主義・頑張れば必ず報われるといった理屈が通じると思い込む親。
本書の中の話で、引きこもりの子を持つ親は子どもが入りたい大学ではなく「親の望む大学」に入れようとした話はモヤモヤする話だった・・・。
会社・近所・親戚などには引きこもっている子どもを知らせないが、親の望み通りの大学に合格したとたん「親の自慢」として扱う。
評価を気にしがちな社会にのまれていることは家庭の中にまで格付けや評価が生まれてしまうことにつながる。
正義や道徳、倫理を口に出しがちであればそれに反論できない。
平和で仲良し家族が「理想」とすることは「くせ者」で「トラブルがない」と理解することの恐ろしさもあるという部分も印象的だった。