読書感想「家族という呪い」阿部恭子

幻冬舎新書より、2019年発行。

著者はNPO法人Wolrd Open Heartの理事長。全国で初めて犯罪加害家族を対象とした各種相談業務、支援、啓発活動をしている。

本書は夫や子ども、孫などの家族が犯罪者になってしまったのは何故か?その背景や、家族の影響、育った環境の詳細が書かれているので、ごく普通の家族が犯罪者になってしまう理由に納得すると同時に犯罪者になってしまった家庭環境の事例が考えさせられた。

家族が犯罪者にならないようにするヒントもあるだろう。

「家族を持てば幸せになれる」ということはない。普通の家族になろうとする為に追い詰められて犯罪を犯すこともある。家族の犯罪によってその家族が永遠に苦しめられるのであるということも知っておくべきだろう・・・。

本書は、夫や息子が性犯罪者になってしまった事例も多めであるが、そのような犯罪に手を染めるのは元々真面目な男性が多いとのこと。

家族からの圧力、男らしさを求める家族、結婚したとしても妻が夫との距離感が近く、一人になれる時間がない、プライバシー空間がない、プレッシャーを与え、プライドを傷つける家族が周りにいることで追い詰められて犯罪のきっかけになる。そこで男性が優位になれる性犯罪でプライドを満たすのである・・・・。

家族が犯罪者にならないようにするにはどうすればいいのか?といったことも書かれているが一人一人の人格や家庭環境などで違ってくるとは思うが難しい気もする・・・。

例え、結婚して子どもができれば問題のある夫が変わるのか?と期待をしたとしてもそうでもなかったりするようだ・・・。

夫の育った家庭環境が父や祖父が日常的に母に暴力を振っていると、それを見て育った子どもにとっても「暴力は当たり前である」と洗脳されるのだ・・・。

「子どもの為に離婚しない」ことは「世間体の為に離婚しない」だけではないか?という視点には共感した。

家族のお節介は度を超すと良くないとのこと。価値観の押し付け、教育虐待、しつけと称した体罰、プライバシー侵害をせずに適度な距離感を持つべきとのことだ。

男性が弱音を吐きやすい社会、男性も性被害に遭う場合があるが被害を告白しにくい世の中である。男らしさの強要もやめるべきだろう・・・。

本書の中でとりあげられていた岡本茂樹氏の「反省させると犯罪者になります」(新潮新書)という本も気になる。

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