主婦の友社から2020年に出版。
子どものうつ症状とはどのようなものなのか?うつになりやすい子は?うつになったらどうすればよいのか?
1970年前後までは「子どもはうつにならない」と世界中では考えられていたが、今や子どものうつは小学生からある。
うつの要因として発達障害と家庭、そして学校(環境)が深くかかわっていたり、本人がうつであるのにさらに頑張ってしまうことと、家族の叱責でうつが悪化することもある。
うつは生まれ持った気質や遺伝や性格も関係している。
真面目な頑張り屋の子のほうが気分転換を上手くできない、ストレスをため込んだり、ちょっとしたことでうつになってしまうのである。
他にも様々なうつを招く要因が取り上げられているので参考になった。
個人的には脳内のトラブルからうつになるという「モノアミン仮説」の概略の図が興味深い。脳内の「モノアミン」が不足するとうつになるということである。
投薬でうつ症状を和らげる方法もあるが、薬の副作用が危険である為、なるべく薬は避けるべきとの判断が主流になっているようだ。
うつからの回復方法として認知行動療法もある。
それは本人が「ダメだ、できない」というマイナスな考え方をしない為に新しい考えを探したり、柔軟に前向きな考えと行動パターンを増やすといった療法。
そして、子どもがうつの症状になった場合、両親も子どもとともにカウンセリングや治療に参加することが大事である。
第4章に認知行動療法を受けた子どもの事例が複数載っているが、それらを読むと子どものうつ症状を改善するには両親の意識改革や家庭環境の改善が重要だと分かる。
本書の最後に「子どものうつの回復をサポートする機関・団体」一覧が掲載されている。