読書感想「90年代サブカルの呪い」ロマン優光

コア新書、2019年の本。

1990年代のサブカル(鬼畜系・悪趣味系)を著者の視点を織り交ぜて考察している。

鬼畜系を広めた雑誌や人物達、90年代サブカルチャーの内容、時代背景などが興味深い。

人権意識が薄いわりに建前重視で、本音を言うことが許されない社会で、汚いものに対しては蓋をする風潮が強かった時代だった。

建前ではきれいごとを言いつつも実際は汚いことをしている人に対しての当て付けとしてのカウンターカルチャーが鬼畜系なのだ・・・。

現在の40~50代はそんな90年代の鬼畜系・悪趣味系のサブカルの流行の影響を受けてきた世代。

鬼畜系サブカル雑誌「危ない1号」が出版されたことで世の中に徐々に鬼畜系サブカルが浸透していった。

しかし、鬼畜系(悪趣味系)はあくまで反道徳性・犯罪性の強いものを楽しんだり考察したり語ったりする程度のジャンルにもかかわらず、世の中に鬼畜系が流行したことで鬼畜系を本気でかっこいいと賛美したり真似しようとしたり、理解力に乏しい人や耐性のない素直な人や年少者にも届いてしまった弊害もある。

鬼畜系を勘違いしたおかしな人の犠牲になってしまった人たちもいたと思われる・・・・。

鬼畜系とはモラルを理解したうえでギリギリな範囲で遊ぶことなのであるが、それが分からない、鬼畜なことを実行してしまう人、内容としては犯罪同然ではないかといった行き過ぎた内容や企画などが増えたり、面白がってモラルを無視して鬼畜なことを仕掛ける人、犠牲になった人もいる・・・。

90年代のそんな鬼畜系の影響を受けた今の40~50代は全般的な人権意識が低く、メディアリテラシーがなかったり、男尊女卑な部分があるようだ。「確かに!」といろいろ納得する部分がある。

本書を全体的に読むと、その鬼畜系サブカルの闇というか、流行のせいで鬼畜系を勘違いした人のせいで嫌な思いをした人もいるだろうなと察する。

現代では犯罪同様なことなのに90年代ではそれらを面白がってきたのだから驚くばかりである。

本書はそんな「鬼畜系サブカルとはどのようなものだったのか?」が書かれているが、時折胸糞が悪くなる内容も含むので読み手を選ぶ本だと思うが90年代のサブカルの闇(?)を知りたい人には興味深く読める内容だろう。

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