読書感想「魔除けの民俗学」常光徹

角川選書、2019年7月発行。著者は常光徹(つねみつとおる)さんです。

昔の人々の生活と隣り合わせである家や日常生活で使う道具に対する考えや扱い、禁忌とされた事柄や俗信などがまとめられている本。

日本の古い俗信や魔除け、禁忌などはおそらく現代でも先祖から言い伝えられていることがあるかもしれない。

日常生活で常に使う道具が怪異に対する魔除けの道具としても使われていたりするのが興味深い。

個人的に印象的に残った部分は・・・・

  • 井戸は他界とつながる出入口になっていて、井戸を大事に扱っていたこと。
  • 箒(ほうき)の「掃き出す」役割は女性の出産の時に腹を箒で払って出産を促していたこと。
  • 箒は悪い物を掃き出すための道具にもなる。悪霊を祓うとか、長居の客に帰ってもらうために箒を立ててそれとなく帰りを促す道具にもなったり、悪いものを寄せ付けない為の道具にもなった。
  • 災害の俗信で、井戸の水が枯れると津波が来る。魚が大量に捕れると大地震が来るといわれがち。
  • 「地震が来た!」→「そういえばこの前魚が大量に捕れていた」というような「兆し」で推理する知識を「応」と言うが、魚が異様に捕れて地震が発生するまでには時差の開きがあるのでその通りになることはなかなかないという。
  • 安政の大地震が起きた時には、流言を言う者や、僧や陰陽師などに影響される人がいたり、それらを真に受ける人々がいた(ひどい流言を言う者や占いなどは取り締まりの対象になったようだ)。

・・・・数々の俗信をざっくりと知ることができた。

本書に記されている参考文献も気になる。

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