読書感想「病が語る日本史」酒井シヅ

2002年5月に講談社から発行された本。

日本の病を時代ごとに取り上げている内容の本。病と共に暮らしてきた昔の人々の様子と疫病に対する考え方が分かる。

病は海外から持ち込まれるが病気の知識も海外から持ち込まれることが殆ど。

昔の時代(奈良時代や平安時代)は病が流行したり不幸がおきるとまず怨霊のせいにし、医者よりも祈祷師や陰陽師に頼った時代があったとのこと。

それと、現代では珍しくない糖尿病が藤原一族のいた時代からあり、糖尿病は当時は王侯貴族や富豪の病であったという。

病は天然痘、マラリヤ、寄生虫、梅毒、ハンセン病、ガン、インフルエンザ(流行性感冒)など多数ありそれらの病は時代が移り変わってもいつも隣り合わせであったのだ。インフルエンザは貞寛4年に流行ったとの史実があるとのこと。感染者が少なくなった病気もあるものの、麻疹はまだ感染者は発生している。治療法がある病があるとはいえ、今でも存在し続けている感染症もある。

病の知識は海外の医師から日本に伝わったおかげで日本の医療が進んだようなものだろう。天然痘が1980年に撲滅宣言されたが天然痘は昔からの病だったのだ。なので撲滅まで非常に時間がかかってきたのだから驚くばかりである。

もしも21世紀にも天然痘があれば感染したくない病だと戦慄する。生き残ったとしても顔にあばたが残り、酷い痘瘡顔になるのだから・・・。

天然痘が撲滅されたが、それは西洋医学の知識が日本に入ってきたことだろう。感染した人を徹底的に隔離したり、牛痘種痘法をしてきた結果なのだ。

江戸時代に海外から伝わった西洋医学がなければ日本の医療は海外に比べて遅れていたようだが海外からの知識を取り入れなかったら病の知識が乏しいままでいただろう。病に関する知識が明治時代に入って医療が進んだようである。

米を食べることが多い日本では脚気(かっけ)という病が多かった。

脚気は足の神経麻痺で始まる急性末梢性神経炎であり心臓に炎症が及ぶと衝心という致死率の高い病に変化するものである。それはビタミンB1の欠乏で起こる栄養障害で、原因は米とたくあんだけを食べて魚などのタンパク質を食べなかった。脚気の予防・対策はバランスよい食事と洋食を取り入れたことである。

米をたくさん食べれば良いというわけではなく、何事もバランスよく食事をすることが大事だということ。

麻疹(はしか)は現代になっても日本は患者が多いようである。

病気の歴史を知ると感染症は海外と交流するたびに病気がもち込まれるだろうから仕方がない。

今後も新たな病や感染症が発生するかも分からない。

病気は昔の時代だと体の症状は分かっても西洋の病名が付けられていなかった。

西洋医学を取り入れることでその病は何かが分かりその病を治すことができたのだろう。

オランダなどの海外の医師たちと交流しなかったら日本の医療は相当遅れていたと考えてしまう。

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