読書感想「妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話」ズュータン

ポプラ社より2021年に出版された本。

妻がマルチ商法にハマってしまい結果的に離婚した著者の体験談と、自身と同じく家族や知人がマルチ商法にハマって苦悩している人たちの事例をまとめた本。

マルチ商法にハマる人に苦労した人たちの体験談を挙げつつ読者にマルチ商法に関わらないようにするヒントや気づきを与えてくれる。

マルチ商法は自己責任では済まされない難しいところがある。

そしてマルチ商法にハマっている人を深刻に心配して悩んでいる人こそ悩みを相談できず抱え込みがちになるようだ。

この本を読んで自分なりに感じたのはマルチに出会ってしまうことは運の悪さと相まって、自分の将来に自信がない人、生き方に対して「これでいいのだろうか?」という気持ちを持っているところにマルチ商法の洗脳にハマってしまうのではないのか?

要するに真面目で素直な人や家族や子どもの為にと一生懸命頑張っている人や理想が高い人や志の高い人がマルチ商法に洗脳されてしまうのではないのか??と個人的に考えてしまう。

本書ではそのマルチの会社名は伏せられてあるが、どうやら健康食品や浄水器、鍋や洗剤などを販売している会社らしい。

主婦が勧誘される場合の一例で、下っ端のマルチ会員が何らかのきっかけでターゲットに近づき「すてきな人」に会わせわせようと手始めに料理教室に誘いだす。そして料理に使っているというその会社の調味料や健康食品や調理器具などを購入させるパターンである。

自己啓発セミナー(将来の目標や夢を100個挙げさせるなど)や健康に関すること(添加物や農薬や水道水を悪と決めつける。発熱や下痢が1週間放置しても構わない、ワクチンは悪である等々)、マルチ商法のセミナーの語るトンデモ情報を正しいと信じ自分は真実を知っているから他の人が知らない情報を知っている自分は特別な人だと優越感を持たせるのだ。

マルチの勧誘者は口が達者で褒め上手で会話も上手いので不満や悩みを抱えているターゲットをよく褒めるとのことだ・・・。

・・・と言うならば、マルチの勧誘に対抗するには仕事を頑張っている夫や家庭で家事育児を頑張っている妻を褒めれば解決ではないのか?と考える(そんな単純でもないかもしれないが)。

マルチにハマった人の顔の表情が変わってしまうということなのでそれは恐ろしいものである。

悲しいことにマルチにはまってしまった人をどうにかやめさせようとしてもどうすることもできないようである。

マルチ商法にハマった人を心配している家族や恋人の心を不健康にしているのだから健康食品なのに家計を不健全にしてしまうし家庭も崩壊させてしまうのなら本末転倒である。重症な人になるとマルチ商法の商品を聞いただけ・見ただけで心身に不調をきたすほどのトラウマになってしまうのである。

悲しいことにマルチ商法にハマってしまった人を正気にする解決策は結局分からない。

本書を読んでマルチ商法にハマった人のことや、マルチ商法をやめさせようとしている人の話を一例として知ることしかできないが、どこの誰でもどのようなきっかけで自分や自分の身近な人がいつマルチに勧誘されてしまうのか分からないし、最悪なことにハマってしまうかもしれないのである。

しかし、このようなマルチ商法のやり方やそれにハマった人を知っておくことは無駄ではないと思う。

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