読書感想「本当はひどかった昔の日本」大塚ひかり

新潮社から2016年に出版された本。

中学生の頃より「三度の飯より古典が好き」だった著者が古典から読み解いた「昔の日本が今よりひどかった」という話を現代の犯罪と照らし合わせながら解いている本。

この本のタイトルを見て「なんでもかんでも昔が素晴らしいという輩にもっと言ってくれ!」という思いもあった自分は、この本のタイトルに興味が湧いて手に取った。

「昔は良かった」とか「今の若者は(ダメだ)・・・」とか言われる現代だが、昔の人だって同じことを言っていたり言われていたようだ。

読んで非常に気分が悪くなる話だらけで嫌気がさしたのだが、古典と物語が混ぜこぜに取り上げられているので理解力がない自分には現代日本の事件とそれら古典の話を照らし合わせ解説しているのは面白いのだが少し混乱してしまった・・・。

印象に残ったのは、ヤマトタケルは英雄だが古典を読み解くと残酷な人物であったりと、「英雄」と「殺人鬼」は紙一重のようなもの。

昔は親の都合で我が子もいとも簡単に手にかけたり育児放棄も多く、子は親の所有物に過ぎなかったことは現代と比べたら子供に対する扱いが親の自己中でしかない時代があった・・・。

儒教の教えの影響なのだろうか?「目上の人や親に従う」教え(?)は一体何なのかと儒教に対する疑問が何故か湧いた。

子供が親に不当な扱いをされていても目上の人がどう見ても人間として醜悪だとしてもそれに従わなければ殺されたりした時代背景は切ない。

捨て子を育てれば養育料がもらえるということを悪用し養子を飢えさせる輩もいたり、俳人の小林一茶の場合は三男を乳の出ない「乳母」に金だけ要求され三男を危うく殺されかけた話も一例として取り上げられていたりと何かと大変だと察してしまう。

そのほかにも色々と古典を例にしながら「昔のひどい話」が取り上げられているので、人間のひどい部分に興味がある人向けの本だと思う・・・。

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