読書感想「14才からのリスク学」山本弘

楽工社から2015年に出版。

SF作家でもある著者が、14才にもなるべく読みやすいようなタイトルにしているのだが、取り上げるリスクテーマが重い。

序盤から「妊娠中絶は昔が多かった」とうデータから、丙午(ひのえうま)の年だけ出産数が極端に落ちているデータを見て日本の背景には「丙午生まれの女は男を食い殺す」という言い伝えにより生まれてくるはずの子供が生まれなかった「丙午リスク」の非人道さを語っている。

漫画の性的な表現に規制をするというリスクテーマについては、イタリアが規制をしているが逆に性犯罪が急増したというグラフは分かりやすい。

著者の「漫画のキャラクターの方を守ってどうするの?」的な理屈は納得、正論だとも言えるかもしれない。

現実世界の人間を犯罪から守る為に性的な漫画は犯罪を減らす役割を陰ながらしていたことになるということか・・・。

放射能や食品の添加物による健康被害やガンになるといった極端な恐れに対しても、それらよりも交通事故で死ぬ確率の方が身近で高い。

むやみやたらに「あれはダメこれもダメ」と近視眼的な考えで一方的に「リスク」と思われるものを排除する陰で、新たな「リスク」を生み出している場合だってあるのだなと感じた。

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