読書感想「ネオサピエンス」岡田尊司

文藝春秋から2019年に発売。

本書では心の絆を求めない人類を「ネオサピエンス」・・・「回避型人類」と称している。

現代人は愛着関連障害が多いという。その原因を解析している。

ざっくり言うと「回避型人類」が増えたのは、母親が社会進出し働くようになったことであるとのことだ。

一歳に満たない乳児を保育園に預けることで子どもはオキシトシン(母乳から分泌される愛情ホルモン)不足になり、共感性のない人間になっていく。

仕事などで忙しい母親からかまってもらうことを期待することをやめるほうが精神的に楽になるのである。なので他人に関心を持つことや共感する能力も乏しくなるのである。

母親との関係が悪いことに加え、ネグレクト、心理的無視、子供に対して応答しないことや共感性が乏しい母親に育てられるということも回避型人類になる原因になるようだ。

そのような母親に育てられた子どもは物事に期待をすることを諦め、単独行動を好み他人と親密になることや性行為を苦手とする。

それに対する「ホモサピエンス」という共感型人類は、人に対しての共感性があるが、欲望に対して貪欲であり欲望のコントロールが苦手とされるゆえに自己中心的でもあるようだ。

回避型人類は人のおしゃべりや人の悪口などには強い嫌悪を覚えるが、共感型人類は人の悪口や陰口を言うことで仲間を作りつながり、「自分の仲間」以外は排除するとのことだ・・・・。

回避型人類は、母親とのふれあいによって生じるオキシトシンという愛情ホルモンの不足を受けて育った影響なのか、突然の自殺願望が生じることがあるとのこと・・・。

病院からオキシトシン受容体作動薬を処方され服用すると、中断した場合は自殺のリスクは70%上がるというから恐ろしいと感じる・・・。

なので、そのような回避型人類に対して世の中は嘆くのであろうが、母親も社会進出して働いているので子育てに愛情をかけることがなかなか困難であるので、これからも回避型人類は増えるのだろう・・・。

他にも本書では人類の進化過程についてに書かれていて、採集狩猟民と農耕民の違いについて書かれていた章があったがそれが個人的に好きだった。

農耕民は身長を高くすることは生活に役立たない為身長を低くすることでエネルギー効率を良くした・・・という部分は日本人のことのように思った。

「回避型人類の人間はどう生きればよいのか?」という解決・対策本ではないので、本書を読む場合は要注意。

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