読書感想「口から見える貧困」

兵庫県保険医協会・編書(2017)、クリエイツかもがわ・出版。

兵庫県保険医協会の調査で子どもの虫歯や口腔崩壊の背景を調査し、まとめられた本。

兵庫県の調査が主だが、こどもの虫歯の未治療が多い他県の事例背景も書かれている。

本書を読むと、子どもの虫歯の未治療や口腔崩壊の原因は親の歯科保健意識が低いこと(知識がない)、虫歯治療をしていない子どもの親も虫歯や口腔崩壊していたりすること、経済的困難、ひとり親・母子家庭で子どもを歯科に連れて行けないこと、仕事や家庭環境の家庭内事情や歯科が遠く通うのが困難な場所に住んでいる地域格差等といった背景がある・・・。

口腔崩壊の子どもの親の意識が「虫歯は大したことがない」と考えて気にしないことが子どもにも連鎖して虫歯を治すことをしなくなる。

なので、親本人が口腔崩壊していると歯がなくなっても気にしない考えになってしまう・・・。

口腔崩壊になると子どもは人前で歯を見せなくなったり笑うことをしなくなり性格が内気になっていくのである・・・。そうなるといじめの対象になる可能性もある。

そして歯がないことは食べ物を噛めないので食べるのが遅くなり、硬い物も噛めない。集中力もなくなるので学力も低下する。

虫歯10本以上ある子どもの生活は口腔崩壊になるが生活も崩壊しているとのことである・・・。

虫歯は自己責任にされがちではあるが、歯医者に通えない事情もあるが・・・。

学生は部活動がある為に部活優先になってしまい歯科治療ができなかったり、子どもの家庭が経済的困難や、自然災害などで家を失い経済的に苦しくなったことなどといった背景が歯科治療に行けなくなること、高校生からは歯科治療が無料にならないことといった色々な背景があるので歯科治療はなかなか難しいと感じる。

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