読書感想「解明!大日本帝国の謎がわかる本」

彩図社から出版。

大日本帝国時代の日本の歴史がまとめられているので大日本帝国の勉強ができる。

個人的に印象に残った部分

  • 1853年のペリーの黒船来航では日本が西洋の恐ろしさを知っていた為開国に抵抗しなかった。開国を心良く思わない攘夷派と幕府の対立や内戦の混乱に乗じて侵攻されそうであったが坂本龍馬が内戦を収束することで西洋にスキを与えず明治維新を成し遂げた。
  • 明治の産業は生糸の輸出が国を支えた。ヨーロッパの蚕の病気の流行で日本の生糸産業の需要が多かった。日本経済を支えていた製糸業であるが女工は一日11時間労働し、繁忙期は18時間も働かされ、農村から身売りされた者も多かった。富岡製糸場は政府の運営の模範企業であったが、民間工場はブラック企業が多く契約期間中に辞めると借金が残る仕組みであったため女工は体調不良や病気などであっても辞めることができなかった。
  • 大日本帝国では天皇は神扱いされたが政治的実権はなかった。神扱いされたのは日中戦争が始まる二年前からで、戦争は反対していたが政治に介入しなかった。戦時下における国民を統制するための道具として扱われた。
  • 戦前日本は離婚大国。明治時代の婚姻は家に労働力を補充するためであり、恋愛せずに親同士が結婚相手を決めた為に性格の不一致や結婚相手の家から追い出されたりの離婚が多かった為、婚前の恋愛を推奨した。
  • 太平洋戦争は軍部の暴走が目立った。軍部には農村出身者が多かった為に政治不信もあり民衆やマスコミ・知識人たちも軍を肯定した。
  • 作家の菊池寛や与謝野晶子は戦争を賛美した。戦争反対するプロレタリア作家(宮本百合子・西沢隆二)は投獄されても反戦の意志を曲げず、僧侶の植木徹誠(うえきてつじょう)は卑怯と言われても生きて帰ることを説いた
  • 反戦を訴えた人はほんの一握りで軍国主義の染まった国民の多くは反戦派に耳を貸さなかった。
  • 三国同盟は日本にとっていいことなしで、ドイツに振り回されただけであった。ヒトラーは白人至上主義であり、日本を蔑んでいた。
  • 日本の太平洋戦争時の敗色が決定打になったのは「ミッドウェー海戦」。
  • 戦時のアメリカの軍事生産力に日本は追いつかなかった。日本の武器は規格が一つ一つバラバラで作るのに時間を要したがアメリカは統一化されていた為武器の生産速度が高かった。研究員・科学者に対してもアメリカは優遇し自由にアイデアを提示できる環境だったが、日本は軍の意見が全てであった。
  • 日本軍の外国人捕虜の扱いが酷かったのは「捕虜は恥である」という考えの為。しかし捕虜に対しての考えは明治・大正時代までは国際法を遵守する精神が強く、捕虜になることも寛大であった。昭和期になると捕虜になるなら死ぬことが訓示になってしまった。
  • 特攻は戦争の傷を最小限にするつもりの苦肉の策であった。レイテ島の戦いの日本軍の特攻はアメリカ兵に精神的にもダメージを与えたことがきっかけで特攻が主な戦術になっていった。
  • 玉音放送を阻止しようとした(宮城事件)を臨機応変で対応したアナウンサー(徳川義寛や館野守男)の転機でことを免れた。
  • 太平洋戦争後のアメリカ軍の占領は1952年の講和条約が発効されるまで続いた。その間殺害や傷害を受けた日本人は3102人といった資料もある。
  • 1954年に軍隊ではなく防衛組織とした「自衛隊」が誕生した。

・・・・・という感じの内容で、大日本帝国と称された日本の歴史背景などが色々と分かった。

戦争反対を主張していた日本人は当時は少数しかいなかったということが辛い所である。

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