読書感想「なるほど世界地理」宇田川勝司

ベレ出版から、2016年発売。

 

世界の「何故?どうして?」といった疑問が項目ごとに書かれていて読みやすい本。

個人的に本書で参考や印象に残った項目などは・・・・

〇「イギリス」という言い方をする国は日本だけで、日本で通じる言葉であっても海外には全く意味が通じないということ。

〇人種は肌の色に基づく区分の別称に過ぎない。
ヒトの遺伝子は3~4万個あり、肌の色の遺伝子はほんの一部であって生物学上ほとんど無視してよい。
黒人や白人、黄色人種等は総じて「ほ乳類サル目(霊長類)ヒト科ヒト族」であるとのこと。
ホモサピエンスが数万年かけ世界に拡散して移動した地域の気候に適した体型になっていっただけ。

〇足が速いケニア人と日本人の走りが違う。
長距離走選手で優れているケニア人は、「つま先走法」で足の裏と地面の接触部をできるだけ少なくした走りをして乳酸値という疲労物質が溜まりにくい走りをするが、日本人はかかとから着地し親指で地面をける「かかと走法」で走る為乳酸値が高くなりがちのようだ。
ケニア人のふだんの生活が裸足なので足の裏を傷つけない走り方を自然に身につけている。

〇アメリカと日本の米の作り方の違い。
アメリカの米が安いのは広い大地と温帯気候と種もみを水田に直播(じかまき)する粗放的な稲作をしているから。
しかも飛行機を活用してモミ播きや肥料、農薬の散布をする。

〇イスラムの女性の黒い衣装。
女性を包む黒い衣装は女性の貞操を守り男性からの視線を回避するためのセクハラ防止でもある衣装でもある。

〇一夫多妻制の国に様々な理由もあるようだ。
イスラム教の一夫多妻は妻の立場は平等に扱い、複数の妻を持つためには結納金や住居もなければならないので裕福層しか複数の妻を持つことができない。イスラム社会やアフリカ部族社会の多妻制は「戦争未亡人の救済措置」であったようだ。
一方、日本の戦国時代の大名や江戸幕府の将軍の一夫多妻制は「後継者を得ることや血縁を増やす目的」なので一夫多妻制の背景が分かって面白い。

〇風呂に毎日入る日本人。
海外では日本人ほど毎日風呂には入らない。欧米人はシャワーが主流で浴槽のある家はあまりないようだ。
それに海外では日本のように浴槽を共用することをせず、一人一人入ったらお湯を交換するので海外から見た日本人の浴槽の共用は異様に感じることだろう・・・。

〇日本のアニメは海外の教育上の視点で基準を満たす必要がある。
日本の人気アニメであっても海外では日本のアニメ表現がNGであったりする。
「ドラえもん」はまさにアメリカ基準にそぐわない表現や人物ばかりである。
日本ではアニメや漫画を「クールジャパン」だと言い海外に輸出しようとしても世界の国々のライフスタイルや価値観と道徳があるのでそれらの国に対しての配慮と尊重が必要になる。

・・・・といった感じで、内容は世界の地理に関する項目の他にもそれぞれの国のライフスタイルの比較も書かれているので海外に興味がある人には楽しめる本だと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA