読書感想「いい加減くらいが丁度いい」池田清彦

角川新書、2018年発売。

生物学者である著者の2017年~2018年配信されたメルマガに加筆と編集を加えたエッセイ的な本。

個人的に印象に残った部分は・・・

〇男性は女性に比べて家事をする効率が下手という話は、著者が実際に家事をした経験での苦労話と合わせた男性と女性の脳機能の差の話。
男性の脳は左脳優先であるので概念ばかり浮かび、「家事の具体的な手順」を考えることができないようだ・・・・。要するに単一作業になりがちになる。

〇70歳以上の高齢者の自動車免許の更新する時に5600円を払って自動車講習を必ず受けなくてはならないことの理不尽。
危険運転は高齢者だけに限らないわけで、危険運転者には免許を付与すべきではないことや、むしろ自転車を運転する側のほうが交通ルールを守らずに危険な運転をしていることについての苦言。

〇自己中心的なクレーマーについての章は理想通りにしようとするクレーマーが増え続けると日本はお終いである。
病院に通う患者が「病気が必ず治る」と信じることも大事だが治らないこともあり、学校に通う我が子の成績が悪いことを「先生の教えが悪いからだ」とクレームを言う親、店の客が自分目線で他の客のことを「気に入らないから入店させるな」と要求するクレーマーな客についての話もうんざり。

個人的に「学校の成績が悪いのは親の遺伝のせいでもある」というバッサリした言い分はむしろすがすがしい。
しかし、成績が悪いことを親のせいにして「どうせ勉強しても頭が悪いから無理だ」と我が子に開き直られても困る部分もあるけども・・・(笑)。

ならば、先生の教え方が悪いのに子どもの成績が良いならば、子どもの方が頭が良いということになるのだろう・・・。

〇日本の侵略戦争の歴史と日本の戦争における精神論についての話は、精神論や勢いで戦争をした日本の歴史をざっくり知ることができたので勉強になった。不利な戦況と知ったらすぐに退くということをしなかったから悲劇が起きたりする。
この章で「戦争の日本古代史」という本が少し気になった。

〇今の人類がこうして存在していられるのは、ホモサピエンスの女性が寒さに強いネアンデルタール人の男性と交配したから。
氷河期に人類が生き残ることができたのは勇気のあるホモサピエンスの女性にコミュニケーション能力があったからだという。

・・・・・という感じであるが、この本の個人的な感想としては、「池田氏は虫の標本やカミキリムシが本当に好きなのだなぁ」ということ。
早稲田大学の定年での時の自身の持ち物の引っ越しや処分するエピソードも面白かった。

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