読書感想「なぜ「あの場所」は犯罪を引き寄せるのか」小宮信夫

青春出版社から、2015年に発売された本。

危険な場所や犯罪が起きる可能性の高い場所、犯罪が起きた場所は一体どんな場所なのかをイラストや写真で分かりやすく書かれている本。

犯罪を起こしそうに見える「不審者」と言えば、「サングラスにマスクと帽子」を着用した人物を思い浮かべがちであるが、犯罪を企てている人物は一見「不審者」に見えない外見と立ち振る舞いをするのでアテにならず、平均的な日本人と外見が異なる人(外国人、ホームレス、知的障碍者)が不審者にされる為、一方的な不審者の概念や「不審者マップ」は人権侵害や、差別、排除を生んでしまい地域のパトロールも「不審者探し」になってしまい、不審者を探すことは人間を信用できなくなり敵意を持つことにつながる。

本書では犯罪者は「入りやすく見えにくい場所」を好むことを説明しているので注意点が分かり、為になった。

犯罪防止や防災目的の「地域安全マップ」であっても「安全な場所」と記されていても景色を読んで臨機応変に対処したり、危険な場所を皆に知ってもらうことや「危険なことは危険だ」とふだんから周りに教えることも大事だということ。

第5章の「日本人の防犯意識はなぜ低いのか」では、犯罪者についてではなく日本人の「うち」意識についての長所と短所が書かれている。
最初の書き出しでは日本と海外の子どもの防犯意識の違いを小さな子どもを一人でおつかいさせる番組についてを上げながら日本と西洋の意識の違いを比べている。
海外(西洋)では幼い子どもを街中で一人おつかいに行かせることの他にも、車の中で一人きりにすることすらも児童虐待になる。

これでは防犯意識が高いつもりでも西洋から見ると子どもを危険にあわせていても平気な国だとみられているわけである・・・。

興味深いのが日本人の「うちはうち、よそはよそ」意識について。
西洋人は集団のルールよりも社会のルールを重視していること。
日本は集団と一体化しがちだが、西洋は集団に依存しない自主性や独立心を評価する傾向のようだ・・・。

日本が島国であることがそうさせているのだろうが日本の「うち」意識は同調プレッシャー→規範意識が高い為に「おかしいことをおかしい」と言えない。

集団いじめや体罰があっても「うち」意識や規範意識の高さのせいで隠蔽することには積極的になっているのである。

日本の「うち」意識や集団同調は、プラスに向けば素晴らしいのだが、マイナスに向くと悪の温床を隠してしまうのかと感じた。

とにかく、この本を読むことで日本の防犯に関する知識と日本人の特性について勉強になった。

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