読書感想「養老孟司の逆さメガネ」養老孟司

PHP研究所から2003年に発売された本。

現代日本の都市化における人々の価値観の狭さや、一辺倒な物事を著者の考えで批判していく内容の本。

「都市は自然ではない。子供は自然なもの」という項目が面白かった。

「ああすればこうなる」的な考えにまみれた周囲に多分嫌気がさしているような気がした。少子化に対して「ああすればこうなる」ではない子供を厄介に考え、自分の損得で子供をつくらない(つくりたくない)考えが少子化に繋がったようだ。

子供は育児本のように育たない。電化製品のボタンのスイッチ一つ押すように「○ヶ月で○○ができる」訳ではない。思い通りにならなくて焦る親はまさに人工的な考えなのだろう。現代はボタンのスイッチで何でも解決すると思っているらしい。例えば洗濯機にしろボタンを押すまでの手作業がある。洗濯機に服を入れる、洗剤を入れる、それらをするのは誰かがいるからこそ事が済む訳で、単なるスイッチポンが簡単な作業ではないという事を考えてしまう。

「逆さメガネ」とタイトルがあるのは、凝り固まった都市化した暮らしや一辺倒な考えに対する疑問を常に持たなくてはならないという警告やアドバイスなのだと思う。

「ああすればこうなる」理屈が通じないと人にすぐ聞く人々。

「ボタン」を押して解決するならその問題もとっくに解決している筈。情報ばかり集めて知った気になっても宇宙のことを説明しろと言うと「スイッチボタン」で解決できない自然のものなので子供同様マニュアルがないようなもの。知った気になっていても仕方がないということなのだろう・・・。

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