読書感想「誰も教えてくれない田舎暮らしの教科書」清泉亮

東洋経済新報社から2018年に出版された本。

1974年生まれの著者は22歳から週末移住を始め、様々な土地に移住しながら田舎暮らしをしてきた。
その著者の経験が生きた「田舎暮らし」のアドバイス本。

都会暮らしに疲れ、大自然があって、人も温かいというイメージで田舎暮らしに憧れ、何もかも捨ててまで田舎に永住しようと考えている人には特にこの本を一読することを勧めたい。

〇この本を読んで印象に残った部分をざっくりあげてみると・・・・

都会での年収が300万ほどあっても田舎に住めば高額所得者になってしまい課税額が都会に住んでいる時よりも高額になってしまうということ。
田舎暮らしの人の年収で200万以上の人すら少ないのである・・・・。

限界集落的な田舎は高齢者の健康保険料がかかる為、保険料を払う額が多くなる。
何故移住者を募集しているのか?という理由は「税収の確保」というその内情も含んでいるらしい・・・。

「田舎暮らしはお金がかからない」という思い込みは間違っている。
何にお金がかかるのかというと「人付き合い」そのものが濃密であるということで何かにつけて地域の会費や近所の人からの野菜などの頂き物に対するお返しの為に何かを買って返さなくては失礼だということ・・・・。

公共交通機関が乏しすぎる為、自家用車を購入する必要があるとか、畑がなく自家栽培できない場合は食費がかかる・・・・等々。

田舎にもともと住んでいる住民(の一部だろうと思うが)、都会からの移住者に対し「都会でやっていけなかったからどうせこんな田舎に移住してきたのだろう」という上から目線が入っているらしい・・・。「持てる者」か「持たざる者」かという判別をしているようだ。

「田舎に永住するのでよろしくお願いします」と住民に言うべきではない理由や、田舎に移住したいと考えたらまず移住したい場所に賃貸物件を借りながら暮らしてみること、「住民票は実家に残しておく」という部分は為になった。

「移住先に住民票を移動しなければ郵便物などが届かないのではないか?」ということはなく、郵便物などは住民票とは関係がないということ。

本の最後の項目は田舎暮らしの問題が集約されているように感じる文章だった。
田舎で起きる恐ろしい事件は田舎の人間関係の悪化や村八分が原因となっている為、「人間関係に行き詰ったら即転住する」ことをアドバイスしている。

とにかく田舎に対し「自然が美しい」とか「人が温かい」といった良いイメージだけを持たないようにすることが大事なのだろう。

その自然を苦労して開拓してきた先住民に対して敬意を払う気持ちを持つことも「田舎暮らし」の移住の成功を左右する要素でもあるようだ。

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